起業をするにあたって
このサイトを読んでいる方はパソコン教室を開業しようとしている、もしくは将来的にパソコン教室を始めたいと思っているのではないでしょうか。
融資、開店準備、集客、営業、運営、経理、様々な難題をこなさなくてはなりません。
パソコン教室の店舗として開店される場合、一人で始める方がとても多いです。家族で経営する場合もありますが、顧客が増えてきたらアルバイトを雇うことも視野に入れます。
筆者は多くのパソコン教室を見て周ってきました。その中で「パソコン教室を経営するとは」の視点で学んだことを記述してみようと思います。
何を目指して独立したのか
パソコン教室を開業して、血気盛んに集客や運営をしっかり行ったのに、志半ばに閉校してしまうオーナーも少なくありません。
そのような「失敗してしまうオーナー」には共通点があります。
失敗するオーナーの共通点とは
まず、傍から見ていても「何を目指して始めたのか」がわからない方がいます。やること為すことが場当たり的で、本来の目的を見失っていて、とりあえず額に汗をしなければというオーナーが多いです。
失敗するパソコン教室オーナーの共通点は、以下の4つに絞られます。
- 懇親会、交流会に参加して人脈を重視する
- 自分でテキストを作りたがる
- チラシや張り紙を作りまくる
- 自分の営業力は最高だと自負し、生徒が少ないのは客層が悪いと言い出す
①懇親会、交流会に参加して人脈を重視する
パソコン教室はB to C。法人向けではなく一般顧客向けです。そのため、教室周辺の住民や企業にアプローチするのは良いですが、なぜか同業のオーナーと仲良くなろうとします。
懇親会に積極的に参加し、同じパソコン教室オーナーの人脈を増やそうとします。
知り合ったオーナーが成功者で、ノウハウを提供する人であれば良いですが、成功している経営者の多くは忙しくて、競合他社である他教室オーナーにアドバイスしている暇はありません。向こうから近づいてくる経営者は「何かを売るため」に近づいてきます。つまり、自分の教室だけでは利益が出ないので何かを買ってもらおう、何かを売ってもらおうという魂胆があります。
具体的には、
- A:オーナー研修を有料でしてあげる
- B:自分が作った課題集を勧めてくる
- C:チラシやホームページを作ってあげる、もしくはアドバイスしてあげる
- D:他社の教材を紹介してあげる
などが挙げられます。
A:オーナー研修を有料でしてあげると近づいてくる
よくある手法です。自分のパソコン教室は決定率が高いとか、生徒から人望を集めているとか、ロボットプログラミングで小学生を多く集めていると自画自賛して相手を騙します。本当は自分の教室は儲かっていないのにです。
そして、「1回10万円で研修してあげる、何で研修受けないの?こんなに安くやってあげるのに、何でやらないの?」と迫り、研修を受けさせます。もちろんこんな人の研修を受けても集客が増えるわけもないのですが、「それはあなたが私の言ったとおりにやらないからだ」と言ってさらに研修を受けされます。
研修内容としては、毎日何百枚もポスティングしろとか、強く推せとか、まったくアドバイスにならない無茶なことを言ってきます。次第にエスカレートして、最後には「自分のバックには強い人がいるから逆らわない方がいい」などと、自分は昔反社会的勢力に関係していたと言って脅迫された人も何名かいました。
B To Bの業界でもないのに、競合のオーナーにアドバイスしてあげるというのは裏があります。注意してください。
フランチャイズ加盟であれば、スタート時に経験豊富なインストラクターから研修を受けますし、教室運営もOJTなどで複数の経験者から十分な時間を取って教えてくれます。
B:自分が作った課題集を勧めてくる
失敗するオーナーのパソコン教室でよくあるのは、雇っているインストラクターが暇で何もしていなかったり、生徒がいても相手にせずにパソコンをいじっているという光景。本来であればインストラクターは生徒に教えたり、生徒がいないときは販促活動をしますが、オーナーが社員やアルバイトの管理ができていなくてインストラクターが本来の仕事をしていない時に「課題集を作る」という現象が発生します。
実はこの時、インストラクターはこんな教室にいても何もならないので他教室に転職しようと考えていて、自分のために作品を増やそうと考えます。そしてオーナーに「生徒には課題集が必要です、時間があるときにできるだけ課題集を作ります」と言ってきます。
そして課題集をある程度作った時にインストラクターは転職してしまい、中途半端でバージョンが古い課題集だけが残ります。このような誰も使わないような古い課題集を持っている教室はかなり多く存在します。
そのような半端な課題集を「素晴らしい課題集だ」と言って高額な値段で売りつけてきます。言われたオーナーは相場がわからないのでそういうものだと騙されて買ってしまいます。
フランチャイズに加盟していれば、フランチャイズ本部側で優秀な制作部が最新バージョンで課題集を作って店舗に提供しますので、課題集を自分の教室で作るというのは不要です。個人店舗ですと課題集くらいしか作ることができないので、インストラクターが作りたいと言って一日中作っている光景をよく見ます。
C:チラシやホームページを作ってあげる、もしくはアドバイスしてあげる
イラストレーターやWebデザイナーでもないのに、ワードで適当なチラシを作ったり、無料ホームページ作成サービス(例えばJIMDOやWIXなど)で教室サイトを作ってあげるなどで勧誘し、最初は「安くやるから安心して」と言っておきながら、完成してから高額な請求をしてきて、払えないと言ったら激昂して脅かされるというケースも多くあります。
もちろんチラシやホームページの出来は悪いのですが、「この素人っぽさが逆にいいんだよ」と言いくるめられます。
安く済むからと言ってフランチャイズに加盟せずに自分で始めたら、販促物やホームページ制作での毎月の支払いのほうがフランチャイズでのロイヤリティよりも高くなってしまったという話をよく聞きます。
フランチャイズ本部なら多くの場合、チラシやホームページ制作はロイヤリティに含まれていますので追加料金などはありません。
D:他社の教材を紹介してあげる
いわゆるアライアンス。商材やサービスを紹介して、成約したらキックバックがもらえるため、他のオーナーにいかにも成功する商材だと騙して買わせます。
最近ですと、小学生をターゲットにしたロボットプログラミングや、Scratchを利用したプログラミング基礎講座などの被害が増えています。
このような教材を契約すれば、安定した数の生徒が確保でき、パソコン教室がすぐに利益が出るように生まれ変わると言ってきます。
しかし裏があり、月謝の3~4割を利用料としてメーカーに納めなくてはならず、その利用料の半分くらいを紹介者である他教室のオーナーにキックバックされます。
こうした善意の紹介者を装ったオーナーは、この紹介料だけで生活できるようになり、ブローカー業だけで生計を立てて、次第に様々な商材を扱うようになります。例えばEラーニングなどの教材を売っているメーカーに取り入って、パソコン教材や英会話教材なども扱います。
それぞれ多額の利用料が発生しますし、例え生徒が増えたとしても売上に比例して利用料の割合も増える計算式になっているため、生徒を集めても集めても利益が出ません。生徒が増えればインストラクターを増やさなくてはならないことにここで気づきます。
フランチャイズ加盟であれば、様々な新しい教材も同じロイヤリティ内で済むため、生徒を増やせば増やすほど利益が増えますので、このような悲惨な状態には陥りません。
そもそも自分で教材を作りたかったの?
②自分でテキストを作りたがる
本当はパソコン教室を開校し、多くの生徒にパソコンの楽しさを教え、地元の皆さんに支えられながら安定した収益を出せる店舗を作ってくのが目的だったはず。
でも途中でなぜか路線が変わっていき、市販されているテキストを見ながら自分でテキストを作り始めるオーナーがいます。
先ほどの課題集もそうですね。なぜかテキストや課題集を作ろうとするオーナーやインストラクターがいます。しかし制作は簡単なものではなく、1冊のテキストを作るだけで何カ月もかかってしまい、しかも出来が悪いため、売られた生徒は困惑して次第にやめていきます。
誤字脱字だらけで、フリーイラストだらけでまとまりがなく、製本キットで綴じられた冊子を2千円とかで買わされれば退会したくもなります。しかも制作開始からかなりの月日が経っているためバージョンが古くなってしまい、市販本を併用することになり意味が無くなってしまいます。
フランチャイズ加盟であれば教材はもちろん、テキストや課題集なども最新バージョンで教室に提供されるため、教室側で作る必要はありません。制作は本部、教室は集客と教育サービスと役割を明確に分けていきましょう。
「素朴な(※下手な)チラシ」を作り始める
③チラシや張り紙を作りまくる
最初は「自分なら多くの生徒を集められる」と思い込んでいたのが、実際はチェーン店でも無いので知名度も無く、営業しようにも集客ができていないので焦り始めます。
チラシを手配りしたり新聞折込(時代遅れ)をしたいのですが、チラシ制作を外注するコストがかけられない。しかし自分にはしっかりしたチラシを作る技術が無い。さて困った。
ここで行き詰まり、思考回路が自分に良いほうに傾いていきます。つまり「センスの良いチラシよりも、自分が作る素人っぽい素朴なチラシのほうが良いはずだ」と思い込みます。
高い月謝を払って通うスクールです。素人丸出しのチラシを見て通いたいと思うでしょうか?しかもパソコン教室ですから、パソコンを使ってこんなチラシしか作れないと思われてしまいます。
それでもオーナーは変に自信を持ち始め、他教室のチラシを馬鹿にして、ワードでチラシを作り始めます。
デザインスキルや広告宣伝の経験も無いのにチラシなどの販促物を作り始めると、どんどん店の評判が落ちていきます。素人が作ったチラシで多くの客が集まるほど世間は甘くありません。
フランチャイズ加盟であれば、プロのイラストレーターがデザインしたチラシが豊富に用意されています。四季に合わせたり、キャンペーンなどに効率よく対応した新しいチラシなどが続々リリースされます。豊富な販促物を時間や手間をかけずにいつでも利用できるのはフランチャイズならではのメリットです。
④自分の営業力は最高だと自負し、生徒が少ないのは客層が悪いと言い出す
集客で最も効果があるのは「看板」です。理想的な場所に店舗をオープンすることができれば、目に入る場所に看板を置くことで追加コストのかからない集客効果が期待できます。
看板を見てお客様はパソコン教室のドアを開けます。そこから約1時間くらいの説明会や無料体験入学が始まります。
1対1での対面の営業になり、入校してもらうには信頼関係を如何に築けるかが重要になります。初対面ですし、自分の教室を選んでもらうためには技術が必要です。コーチングに代表されるような、相手の話を聞く、お客様のために自分はここにいる、知りたいことを的確に説明できるといった技術が必要になります。
そのためには専門家による研修が必要になりますが、個人で始めたパソコン教室ではそういった技術があることすらオーナーは知りません。
失敗するオーナーは、「相手の話を聞かない(話を遮り自分が話をする)」、「とにかく自分を売り込みたがる」、「自分が伝えたいことだけを相手の話に被せていく」といった、お客様にとっては三重苦になることを平気でやってしまいます。
もちろんこれでは入校してもらえるはずがありません。なかなか入校が決まらないことにイライラして、周りには「僕の営業は完璧なのに、この周辺の人は民度が低くて入校しない」とぼやきはじめます。
月謝を頂いて長く通ってもらうパソコン教室では、最初のわずかな時間に信頼関係を築かなくてはなりません。フランチャイズ加盟であれば、営業活動に必要な技術の習得も研修内容に盛り込まれているところもあります。
パソコン教室開業を成功させるためには
まず自分が何をしたかったのかという原点に帰るべきです。
パソコンの楽しさを伝えたい、地元に根付いたパソコン教育を展開したい、多くの生徒を集めたい。この3つだったのではないでしょうか?
なぜ怪しい人達との交流を重視したのか、なぜパソコン教育とは違うチラシ作成とかに専念したのか、なぜお客様の話を聞けなかったのか。
自分がやりたかったことの逆ばかりをやってしまったオーナーは、早い段階で店を閉めることになります。私は店を閉めると決断した時のオーナーとよくお話をしました。皆さん自分の失敗に気付いていなくて、ただただ人のせいにして店を畳んでいかれました。
余程強い意志と高いスキル、相当な経験を持ち合わせてない限り、教育サービス業であるパソコン教室を自力で始めようとは思わない方が良いと思います。
自分に足りないスキルや手段を十分に提供してくれるフランチャイズに加盟することを考えたほうが良いです。自惚れずに、まずはパソコン教室開業のための情報収集から始めましょう。
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